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福岡地方裁判所 昭和48年(わ)578号 判決 1974年4月22日

本店所在地

北九州市小倉北区青葉二丁目七番二五号

清弘商事株式会社

右代表者代表取締役

浦川弘二三

本籍

福岡県田川郡添田町大字庄二、三〇九番地

住居

北九州市小倉南区若園二丁目二番二〇号

会社役員

浦川弘二三

昭和一〇年一月二日生

右清弘商事株式会社および浦川弘二三に対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官近藤清および弁護人松田哲昌出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

被告人浦川弘二三を懲役六月に、

被告会社清弘商事株式会社を罰金二四〇万円に処する。

ただし、被告人浦川弘二三に対し、本裁判確定の日から二年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社清弘商事株式会社は、昭和四一年六月一〇日に被告人浦川弘二三により資本金一〇〇万円(昭和四六年一月二七日に三〇〇万円に増資)で設立され、設立当時は北九州市小倉区青葉町八丁目に、昭和四一年一二月ごろからは同区青葉町五丁目(のちに住居表示変更により同市小倉北区青葉二丁目七番二五号となる。)に本店を置き、鋲螺(ボルト・ナツト)の製造、販売等の事業を営むことを主たる目的とする株式会社、また、被告人浦川は、被告会社の全株式の実質的な所有者であつて、設立当初からその代表取締役社長として被告会社の業務全般を統括主宰している者である。

第一、被告人浦川は、被告会社の業務に関し法人税を免れようと企て、昭和四四年六月一日から昭和四五年五月三一日までの事業年度において、被告会社の実際の所得金額が少くとも一六、五五五、八三六円あつて、これに対する法人税額が五、五〇六、〇〇〇円であるのにかかわらず、公表経理上架空仕入を計上したり売上の一部を脱漏したり、また、簿外預金を設定するなどの不正の方法によりその所得の一部を秘匿したうえ、昭和四五年七月三一日、北九州市小倉区萩崎町一番一〇号所在の所轄小倉税務署において、同税務署長に対し、被告会社の所得金額が六、八三四、一二四円で、これに対する法人税額が一、九五八、〇〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて、不正の行為により右事業年度の正規の法人税額のうち三、五四八、〇〇〇円を免れた。

第二、被告人浦川は、前同様被告会社の業務に関し法人税を免れようと企て、昭和四五年六月一日から昭和四六年五月三一日までの事業年度において、被告会社の実際の所得金額が少くとも一七、八八八、三六九円あつて、これに対する法人税額が五、九三〇、〇〇〇円であるのにかかわらず、公表経理上架空仕入を計上したり売上の一部を脱漏したり、また簿外預金を設定するなどの不正の手段によりその所得の一部を秘匿したうえ、昭和四六年七月三一日、前記小倉税務署において、同税務署長に対し、被告会社の所得金額が四、三六二、七八二円で、これに対する法人税額が一、〇二一、〇〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて、不正の行為により右事業年度の正規の法人税額のうち四、九〇九、〇〇〇円を免れた。

(証拠の標目)

判示全部の事実について

一、被告人浦川の

(1)  当公判廷における供述

(2)  第一回公判調書中の供述部分

(3)  検察官に対する供述調書

一、大蔵事務官の被告人浦川に対する昭和四七年一一月一四日付、同月一五日付、昭和四八年三月一五日付、同年五月一〇日付、同月一一日付、同月一六日付および同年六月一日付各質問てん末書

一、被告人浦川作成の確認書

一、大蔵事務官の金日晋作、長崎克行、佐藤俊治、金貞幸男および浦川晴美に対する各質問てん末書

一、大下敏郎作成の昭和四八年一月二七日付、同年二月八日付、同月九日付(「売上漏について」と題するもの)、同年三月六日付、同月一六日付、同年四月二一日付、同月二三日付および同月二四日付各上申書

一、後藤マスエ、定成清司、永島久子、田中舜一、留盛英子および金貞幸男のそれぞれ作成した各上申書

一、検察事務官入江澄夫作成の電話聴取書

一、親和銀行小倉支店長金子三雄(昭和四八年一月三〇日付)、山口相互銀行小倉支店長原田博之(昭和四七年一一月二一日付および昭和四八年二月一日付)、山口銀行小倉支店長岡村正男、広島相互銀行小倉支店長金川昇、旭相互銀行戸畑支店長寺田健吾、小倉若園郵便局長森富士男、小倉日明郵便局長井上栄一、富士銀行北九州支店長藤海正雄および佐賀銀行小倉支店長堀池亀生作成の「普通預金元帳写」と題する書面

一、登記官中村道治認証の商業登記簿謄本

一、押収してある法人税決議書綴一綴(昭和四八年押第三一〇号の七〇)

判示第一の事実について

一、大蔵事務官の被告人浦川に対する昭和四八年三月八日付質問てん末書

一、大下敏郎作成の昭和四八年四月二日付上申書

一、佐藤俊治および中村イチノのそれぞれ作成した各上申書

判示第二の事実について

一、大下敏郎の検察官に対する供述調書

一、大蔵事務官の大下敏郎に対する各質問てん末書

一、大下敏郎作成の昭和四八年一月二五日付、同年二月一日付、同月二日付、同月四日付、同月六日付、同月七日付、同月九日付(「立替金について」と題するもの)、同月一三日付、同年三月二日付、同月一七日付、同月一九日付、同月二〇日付、同月二二日付、同月二三日付および同年四月一六日付各上申書

一、越路清光、恵良恵および佐藤峰子のそれぞれ作成した各上申書

一、親和銀行小倉支店長金子三雄(昭和四七年一一月三〇日付)山口相互銀行小倉支店長原田博之(昭和四七年一二月八日付)および住友銀行北九州支店長安本重徳のそれぞれ作成した各証明書

一、押収してある印かん六個(前記押号の四三)、領収書・請求書(富田捻鋲株式会社名義のもの)四冊(同押号の四四)、納品書・請求書・領収書(株式会社山本製作所名義のもの)四冊(同押号の四五)、納品書(株式会社山本製作所名義のもの)一綴(同押号の四六)、納品書(富田捻鋲株式会社名義のもの)一綴(同押号の四七)、納品書・請求書・領収書(浅井鉄工所名義のもの)一綴(同押号の四八)、納品書・請求書・領収証(株式会社森田製作所名義のもの)一綴(同押号の四九)、納品書・請求書・領収書(市川鉄工株式会社名義のもの)一綴(同押号の五〇)、納品書・請求書・領収書(宮川金属工業所名義のもの)一綴(同押号の五一)、納品書・請求書・領収証(大成製作所名義のもの)一綴(同押号の五二)、納品書・請求書・領収証(高橋螺旋株式会社名義のもの)一綴(同押号の五三)、納品書・請求書・領収書(有限会社川喜田商会名義のもの)一綴(同押号の五四)、納品書・請求書・領収証(東亜鋲螺製作所名義のもの)一綴(同押号の五五)小手帳二冊(同押号の五六)、別口関係書類一袋(同押号の五七)のうちの大学ノート一冊、納品書・請求書・領収証(石川産業株式会社名義のもの)一綴(同押号の六三)、納品書・請求書・領収書(大明螺子製作所名義のもの)一綴(同押号の六四)、請求書(市川鉄工株式会社名義のもの)一綴(同押号の六五)、納品書・請求書・領収証(株式会社三共精機名義のもの)および普通預金通帳(有限会社山下鉄工所名義のもの)一冊(同押号の六九)

(法令の適用)

被告人浦川に対し

判示各所為 各法人税法一五九条一項

刑種の選択 いずれも懲役刑を選択

併合加重 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の重い判示第二の罪の刑に加重)

主刑 懲役六月

執行猶予 刑法二五条一項(二年間猶予)

被告会社清弘商事株式会社に対し

判事各所為 各法人税法一六四条一項、一五九条一項

併合罪 刑法四五条前段、四八条二項(各所定罰金額を合算)

主刑 罰金二四〇万円

よつて、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 松本時夫 裁判官 早舩嘉一 裁判官 清田嘉一)

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